トラジャの葬式と水牛と死生観
トラジャ2日目
今日はトラジャに来た最大の目的である儀礼があるとのことで早速参加してきました。Upacara Pemakaman(お葬式)です。
かなりお金持ちの家計のお葬式らしく豪勢で今日が2日目だったそうです。全部で4日間取り行うそう。
香典代わりのタバコを購入してから到着
水牛は故人を死後の世界に運ぶ乗り物として生贄になります。
水牛にもランクがあるようで
- サレゴ 白ベースに顔に黒ぶち 一頭400万円以上
- ボンガ 白ベースに体に黒ぶち
- バレアン 角が長め、基本メス
- トディ 額と目の周りが白
- プドゥ 全身黒・白
- サンバウ 奴隷の牛、数合わせ
上の写真はおそらくトディクラス。
トディ以上を最低1匹は用意しなければならないルールもあるようです。
故人の社会的地位で葬式の際に必要な水牛の数が変わります。
庶民でも10頭が相場らしいです。高い階級になると24匹が最低数。皇族クラスだと32頭は必須になるようです。
真っ黒なので多分プドゥ
ほんの一瞬で
この先は少し自粛。
後日、「閲覧注意」の形で別途投稿しようと思うので見たい方だけどうぞ。
基本は一回のみ。あとは弱るまで待つのみです。タフな水牛は30分も暴れまわるそうです。
他にも生贄になった豚はその場で内臓を処理されて焼かれていました。
この肉は後に家族やお客さんで分けられます。ちなみに今日の晩ご飯として出てきました。
こうした生贄はただ「魂を運ぶためのもの」ではなく、儀礼を通して「家族や近隣の方にふるまうこと」も一つの目的になっています。
生贄の数に最低数の決まりはあれど、あくまで最低数でいくらでも超えて構いません。
地位の高い方の葬式だと100頭以上の水牛が生贄として葬られることもあるそうです。
今回葬式があげられた方は、トラジャ人にとってはまだ死んでいません。
この儀礼が終わり、棺が埋められて初めて死の世界に行ったことになります。
トラジャが特殊なのは一般的に「亡くなった」と言われる状態は、「眠っている、病気の療養中」の状態と認識されています。
そのためトラジャの人にとっては今日の葬儀の方もまだ眠っているのです。
それだけでなく、亡くなってからも一定期間同じ家で生前と同じように一緒に生活します。ホルマリンで腐らないように加工して食事、着替え、お祈りなども変わらず一緒に過ごします。
必要な水牛を買う資金調達に時間がかかるという現実的な理由もありますが、家族が悲しみと向き合う時間だとも言われています。
トラジャ族の葬式は決して悲しいものではなく、楽しいものだそうです。
故人の方の最期に畏敬の念を示し、周りの人と食事を共有し、幸せを共有するものだと捉えられています。
そんなトラジャの特殊な葬式の儀礼や死生観を知識として少しは有していましたが、実際に自分の目で見て、現地の人から話を聞くことができて大変貴重な時間を過ごせました。